誰も書かなかったペット業界の裏話「ワクチン」



誰も書かなかった裏バナシ 「ワクチン篇」



昨年、ある獣医師がブリーダーにワクチンを横流ししていたことが発覚した事件がありました。
その横流ししたワクチンの金額を合計すると300万円にも及ぶ、との報告がありました。

これを聞いて「えー!?そんなに横流ししていたの?」と思われた方もいるかもしれません。
でも私は、「300万円どころの話ではないだろう」と推測しています。

こういった「獣医師からブリーダーへのワクチン横流し」は常習的に行われていることだからです。
毎年、お抱えのブリーダーにワクチンを横流ししていた場合、その数はかなりのものになるでしょう。
少なくとも、親犬が50頭いたとして、50本。
少なく見積もって200頭の子犬が生まれたとして200本。
計250本。これが毎年続くわけです。

ワクチンの種類にも色々ありますが、原価は大体1000円~2500円程度です。
自由診療とは言え、1回のワクチンで1万円も請求する獣医もいますね。恐ろしいですね。

話が横道に逸れましたが、この「横流し事件の発覚」は大きな影響を及ぼしました。
今まで横流ししていた獣医師が自主的にブレーキをかけたせいでしょうね。
今まで安く手に入っていたワクチンが、いきなり無くなってブリーダーが慌てだしたのです。

「佐々木さん、どっかワクチンのルート持ってない?」
など聞かれることも良くありました。

ワクチンのルートに関しては、獣医師以外にもあることは良く耳にします。
海外からの密輸なども多いようです。


ここで私が昨年経験したエピソードをお話しましょう。
私のホームページで紹介していた3ヶ月の子犬の飼主さんが決まり、
生後100日前後でお渡しすることになりました。

私がホームページに、その子の写真を掲載したのが生後50日前後、
その写真撮影にお邪魔した時、ちょうどブリーダーさんが子犬に自分でワクチンを注射していました。
5種の混合ワクチンでした。
ルートまでは聞きませんでしたが、ワクチンの入っているビンを見たところ
全部英語で書かれていたので、おそらく海外からのルートで入ってきたと思われます。

それからなかなか飼主さんが決まらず、ブリーダーさんが2回目の5種ワクチンを自分で注射した頃、
やっと飼主さんが決まりました。
飼主さんには、ブリーダーさん自身がワクチンを注射したことを承諾してもらい、
ワクチン接種証明書が無いまま、子犬を届けることになったのです。

その子を届けてから1週間後、急に子犬の具合が悪くなり、緊急入院することになりました。
食欲も無く、点滴の毎日で、一時はかなり危険な状態でした。
パルボ・ジステンパーなども考慮に入れ検査をし、免疫抗体の検査もしました。
結局はストレス性の腸炎であり、1週間後には退院して元気に回復しましたが、、
免疫抗体の検査でもう一つ重大なことが分かりました。

それは、「免疫抗体が全く無い」ということでした・・・・

「2回もワクチンを接種したのになぜ?」とも思いましたが、
よくよく考えると腑に落ちる部分がありました。

ワクチンは冷蔵での保管が絶対必要なのです。
しかしブリーダーさんが注射したのは海外からのもの。
おそらく何人もの仲介を経てブリーダーさんが手にしたものと推測されます。

それも密輸となると、おそらく船便での密輸が考えられます。
船便は非常に保存状態が悪く、高温になることもしばしばである、と言われていますね。
ワクチンの保存状態が冷蔵状態でなかった場合、ワクチンは水になってしまうということ。

仮に冷蔵保存されて運ばれてきたとしても、何人も仲介している間に
保存状態が思わしくなくなる場合も十分に考えられます。
普通のブリーダーさんで冷蔵バッグを持っている人は居ませんからね。


それを考えると、子犬だけでなく、親犬にも毎年「ワクチン水」を注射していたことになります。
それでは、いくらタップリ初乳を飲もうが子犬の免疫力は低いままです。

どんなに言いくるめられようとも、必ず接種証明書(獣医師発行の)をもらってください。
「ワクチン水」ではダメです。
今でこそ減ってきましたが、こういったワクチンに関する問題はあとを絶ちません。
飼主の皆様にこの事実を知って頂く事と、周りであらたに子犬を購入するお友達にも
こういった事実があることを知って頂く為に書いてみました。
飼主さんの知識が子犬を取り巻く環境を変えていきます。



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