■ドッグフードに安楽死の薬が混入。米FDAがリコールを発表


動物の安楽死に使われる薬品の成分が、アメリカ国内で販売されていた犬用の缶詰から検出され、米食品医薬品局(FDA)からリコールが発表。

FDAによると、J・M・スマッカー社製造のフード「グレイビー・トレイン」の缶詰から、低濃度のペントバルビタールが検出されたとのこと。ペントバルビタールは一般的に、鎮静薬や麻酔剤、動物用の安楽死薬として使用されている薬物。

仮にそのフードを食べた場合、眠気やめまい、興奮状態、平衡感覚の喪失、嘔吐などの症状を引き起こして死に至る可能性もあるということ。

今回検出されたのは、あくまで低濃度であって犬への健康被害は少ないとされている。

■どうやって安楽死の薬が混入したのか?


スマッカー社では、混入に関して、1か所の製造施設の原材料に含まれていたと説明をしている。しかし、なぜ混入に至ったかまでの詳細は説明していない(現段階では)。また、説明する必要もない。家畜の飼料やドッグフードには、レンダリングされた肉が使用されていても全く問題はないからだ(AAFCOも認めている)。

レンダリングとは、食用肉の食べれない部分を高温で融解させ、油脂を精製するということ。油脂は石鹸になったり、固形分は家畜飼料・ドッグフードなどに転用される。



↑の高温で溶かす作業の絵があるが、実際は大きな攪拌機に動物(病死、轢死動物も含まれる)が丸ごと投入されミンチにされる。
その「丸ごと投入」される動物に関しては、病歴・投薬歴など精査しているレンダリング業者はおそらく無いと思われる。

レンダリングに関しては、『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』(アン・N・マーティン著)に詳しく書かれている。またネットで『レンダリング工場』で検索すれば、画像なども見ることはできるが、こちらは注意が必要。

今回の混入に関しては(推測の域は出ないが)、なんらかの理由で安楽死させられた動物が丸ごと投入されたのが原因だと考えるのが妥当だと思われる。

■レンダリング=悪なのか?


だからと言って レンダリング=悪なのか?というと、そうとは言いきれない。仮にレンダリングが無くなったとすると、家畜飼料が半分に減り、私たちが食べている食肉(牛肉・豚肉・鶏肉など)も手に入りにくくなるか、あるいは価格が倍に跳ね上がるか、のどちらかだと思います。

またドッグフードが「レンダリング肉使用禁止」になったとしたら、世界の99%のドッグフードは無くなってしまうかもしれません。


■今回の混入事件から感じたこと


実は、安楽死薬物混入は今回が初めてではありません。2017年2月にもエバンジャーズ社の缶詰から同じ薬物が検出され、1匹の犬が死亡しました。
安楽死の薬物に限って言えば近年で2回だけなのかもしれませんが、他の薬物(致死的ではないものも含め)も検査対象となれば、常に混入している可能性も否定できません。

レンダリングは悪ではないにせよ、そういった混入物の可能性はあるということを肝に銘じて使用することが必要なのかもしれません。

また、「安心のイギリス産」「ペット先進国のアメリカ産なら安心」といった、根拠のない妄信もあるようですが、レンダリング工場は世界中で稼働しており、ここ日本でも100以上の工場が存在しています。ドッグフードのほとんどは、レンダリング肉なしでは存在できないでしょう。

私共では 人間用の食材レベルの肉のみを使用していますが、私たちが食べるためだけに、健康に育った動物をいただくというのも、それはそれで残酷だとも感じます。

表示義務の抜け道を探ったりせずに、正直に原材料を開示していくのが、食されるためになくなった動物たちへのせめてもの償いだと、私は強く感じました。




初回購入者限定ありがとうキャンペーンページはこちら


ページトップに戻る