誰も書かなかった裏話「犬の訓練所」



先日、ある飼い主さんからこんな電話を頂きました。

「うちのワンコを訓練所に預けました。預けて3週間ほど経ったところです。
 この前、様子を見に行ったら何だか自分のワンコじゃなくなってしまったような
 気がしたんです。目つきにも何だか優しさが感じられなくなって・・・
 以前のはつらつとした感じが消えていました・・・」

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今回は私が3年ほど前に、訓練所を訪問した際のことを詳しくお話したいと思います。

最近では、無料しつけ教室なども盛んに行われていますが、
当時はまだ、「訓練所」に預けるスタイルがほとんどだったように思います。
訓練所では、1ヶ月間の訓練費用(宿泊料金・フード料金込み)は
30000円~50000円が相場のようです。

どういった根拠があるのか私は理解していないのですが、
基本的な訓練期間は4ヶ月掛かるのが平均である、と訓練士の方は口を揃えて言います。
「最低4ヶ月は預けないと、しっかりとした訓練は出来ませんよ」というわけです。

私が伺ったとき、ちょうど訓練に入って1ヶ月のアメリカンコッカーがいた。
そのコッカーは、談話室の中で放し飼いにされている。
「この子も訓練で預かっているんですか?」と私が聞くと、
「ああ、そうだよ。最初の1ヶ月はとにかく慣れさせるための1ヶ月なんだよ。
 人に慣れないうちは訓練しても無駄だから、1ヶ月はこうして側においておくだけでいいんだ。」

次に、他の訓練犬がいる犬舎に案内してもらった。
そこには20個ほどのクレートが並べられており、中には様々なワンコが入っていた。
私が入っていくとけたたましく吠える。

その訓練所で働く訓練士さんは二人。
預かっているワンコは20匹前後・・・
「こんなに沢山のワンコをたった二人で訓練しているんですか?大変ですねえ・・・」
「そんな事ないよ、犬の集中力が続くのはせいぜい20分くらいだから、
 1日に15分くらいしか訓練はしないもんなんだよ」

その犬舎に入って一つ気になったことがあった。
それはゴルフのアイアンが1本あった事だった。
何に使っているのかは何となく想像がついたので、質問するのは避けた。



話は横道に逸れますが、先日 新潟中越地震で活躍した優秀な災害救助犬が息を引き取りました。
老衰ではなく、ストレス性の腸捻転が死因だったようです。
中越地震の影響で保護されている犬の数も非常に多くなり、
その災害救助犬も手を掛けられる時間がグンと減り
大好きな運動の時間も無くなり、ストレスにやられてしまったらしいです。

この事からも想像出来るように、環境の変化はワンコにとっては一大事です。
ましてや、室内で自由に暮らしていたワンコが突然違う場所でクレート飼い・・・
ワンコのストレスは計り知れません。

「訓練所」=「ストレス」と短絡的に結びつけるつもりはありません。
しかし最初に挙げた話のように、思わしくない変化がもたらされたと
感じている飼い主さんが非常に多いのです。

犬は愛情を食べるいきもの・・・ストレスを抱えたままでの訓練・トレーニングは
楽しいものではないはずです。

ここ数年、「犬をしつける」ではなく「飼い主を教育する」しつけが
日本でも取り入れられるようになってきました。
つまり飼い主にしつけ・訓練の深い知識さえあれば、
わざわざ長期間訓練所に預けなくてもいいということです。

家庭犬のしつけは、知識のある方にとっては決して難しいものではありません。
そしてワンコも、飼い主さんにしつけてもらうのが一番の幸せだと思います。


最後に、私がお邪魔した訓練所の中で、「訓練に預けている間の面会は事前予約が必要」
というところがありました。
飼い主さんが面会に来る前日に、汚くなってしまったワンコを急いでシャンプーする為です。

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